
セキセイインコとの生活、毎日賑やかで楽しいですよね。でも、愛鳥が急に「ギャギャ!」と大きな声で怒ったり、聞いたことのない不思議な声で鳴き続けたりすると、「一体どうしたのかな?」「もしかしてどこか痛いのかな?」と不安になってしまうことはありませんか。
実は、あの小さな体から発せられる多彩な鳴き声の一つひとつには、私たち人間に伝えたい切実なメッセージや、彼らなりの複雑な感情がたくさん詰まっているんです。言葉が通じない分、声のトーンやリズムから気持ちを汲み取ってあげられたら、もっと仲良くなれそうな気がしますよね。
この記事では、私が実際にインコと暮らす中で学んだ鳴き声のバリエーションや、それぞれの声に込められた本当の意味、そして困った時の対策について、詳しくお話ししていきたいと思います。
記事のポイント
- 鳴き声を聞き分けることでわかるインコの今の感情や要求
- オスとメスによる声の違いや発情期特有のサイン
- ご近所トラブルを防ぐための呼び鳴き対策と防音の工夫
- 早期発見がカギとなる病気の可能性がある注意すべき異音
セキセイインコの鳴き声の種類と意味一覧
インコの鳴き声は、単なる音ではなく大切なコミュニケーションツールです。ここでは、日常的によく耳にする鳴き声をシチュエーション別に分類して、その時のインコの心理状態を深掘りしてみましょう。
実は、セキセイインコの音声コミュニケーションは科学的にも研究が進んでおり、その複雑さは霊長類にも匹敵すると言われることがあるほどです。彼らの声は大きく分けて「さえずり(歌)」「地鳴き(コンタクトコール)」「警戒音」などに分類され、それぞれが明確な社会的機能を持っています。(出典:帝京科学大学『セキセイインコの発声行動における基礎研究』)
嬉しい時のゴロゴロ鳴きの心理

愛鳥が肩に乗っている時や、カキカキと撫でてあげている時に、喉の奥から「ゴロゴロ」「グーグー」という低い音が聞こえてきたことはありませんか。初めて聞くと「怒っているのかな?」「唸り声かも?」と勘違いしてしまうこともあるのですが、実はこれ、最高にリラックスして甘えている時の声なんです。
猫の「喉鳴らし」と同じ至福のサイン
この「ゴロゴロ音」は、猫が飼い主に撫でられて気持ちいい時に出すゴロゴロ音と、心理的にはほぼ同じ意味を持っています。インコは安心しきっている時、全身の力を抜いて羽を少しふっくらと膨らませ(これをフラッフィングと呼びます)、目を細めてトロンとした表情を見せます。この状態で、喉の奥を鳴らすように低音で「ゴロゴロ…」と呟くのは、彼らにとっての至福の時間なのです。
この声が聞こえた時のベストな対応
もし愛鳥がこの声を出していたら、飼い主さんへの信頼度はMAXだと思って間違いありません。「大好きだよ」「安心するなぁ」と伝えてくれているので、飼い主さんも優しく声をかけたり、そのままカキカキを続けてあげたりしてください。ただし、気持ちよすぎてそのまま寝てしまうこともあるので、驚かせないように静かな環境を維持してあげるのも優しさですね。
また、ケージの中で一人でいる時にこの声が聞こえる場合も、お気に入りの場所でまったりとくつろいでいる証拠です。体調が悪くてうずくまっているわけではないか、念のため様子を確認しつつ、元気そうならそっとしておいてあげましょう。この「ゴロゴロ」は、平和で満たされたインコライフを象徴する、とても幸せな音なのです。
怒る時のギャギャ鳴きの意味

一方で、「ギャギャギャ!」「ギギギ!」という濁った激しい音は、明確な拒絶や警告のサインです。「嫌だ!」「あっち行って!」「それ以上近づくな!」と強く主張している状態ですね。
テリトリー防衛と恐怖の裏返し
この声がよく聞かれるのは、ケージの中に無理に手を入れようとした時や、インコにとっての「聖域(お気に入りの止まり木や巣箱代わりの場所)」を侵そうとした時です。セキセイインコは群れで生活する社会的な鳥ですが、同時に自分のパーソナルスペースやテリトリーを守ろうとする本能も強く持っています。
特に、見慣れない物体が近づいてきた時や、急に大きな音がした時など、恐怖を感じた際にもこの声を出します。つまり、「攻撃したい」というよりも「怖いから追い払いたい」という防衛本能が働いていることが多いのです。
噛みつきへの発展リスクと対処法
この「ギャギャ鳴き」を出しながら、クチバシを大きく開けている姿を見たことはありませんか?これは、ボクシングで言えばファイティングポーズをとっているのと同じで、「これ以上近づいたら噛むぞ!」という最終警告です。
注意:無理な接触はNG
この状態で「なだめよう」として指を近づけるのは非常に危険です。興奮状態にあるインコは、飼い主の指であっても容赦なく強く噛みつくことがあります(転嫁攻撃)。
もし愛鳥がこの声を出したら、まずはその原因(手、おもちゃ、他の鳥など)を速やかに取り除き、少し距離を置いてクールダウンさせてあげましょう。興奮が収まるまで数分間そっとしておくのが、お互いの信頼関係を守るためにも最善の策です。
オスとメスの鳴き声の違い

セキセイインコは性別によっても鳴き声の傾向が大きく異なります。見た目(鼻の色)だけでなく、声の質や鳴き方にも「性差」がはっきりと現れるのがこの鳥の面白いところです。
オスの特徴:複雑で美しい「さえずり(ソング)」
一般的に、オスはおしゃべりが得意で、長く複雑な歌を歌う傾向があります。これは本来、野生下でメスに対して自分の魅力をアピールし、求愛するために進化した能力だからです。
「ピュロロロー、ピュイピュイ、チチチ…」と、高音と低音を織り交ぜながら、時には人間の言葉や生活音(電子レンジの音など)をリミックスして、即興のメロディを奏でます。ご機嫌なオスは、一日の大半をこの「独唱」に費やすことも珍しくありません。彼らにとってさえずることは、自分の遺伝子の優秀さを証明するプレゼンテーションであり、同時に生きる喜びそのものでもあるのです。
メスの特徴:シンプルで力強い「地鳴き」
対してメスは、オスほど複雑なメロディを奏でることは少ない傾向にあります。メスの鳴き声は、仲間を呼ぶための単発的な「ピッ!」「チッ!」という地鳴きや、少し低めの声で「ギャッ」と鳴くことが主です。
これは、メスが「選ばれる側」であり、自分から歌ってアピールする必要性が進化の過程で低かったためと考えられています。そのため、「うちの子はあまりおしゃべりしないし、歌も歌わないなぁ」と思っていたら、実はメスだったというケースは非常に多いのです。
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、中にはおしゃべりが大好きなメスや、寡黙なオスもいます。個体差も大きな魅力の一つとして、その子ならではの「声」を楽しんであげてくださいね。
発情期の鳴き声とピュロロ音

発情期に入ると、インコの体内では性ホルモンが活発に分泌され、行動や鳴き声に劇的な変化をもたらします。これは生理現象なので完全に止めることはできませんが、特徴を知っておくことで冷静に対処できるようになります。
オスの「ラブ・セレナーデ」と吐き戻し
発情期のオスは、テストステロンの影響でテンションがMAXになります。お気に入りの対象(鏡、おもちゃ、止まり木、あるいは飼い主の指)を見つけると、瞳孔をキュッと小さくし(点目)、頭を激しく上下に振りながら、猛烈な勢いで「ピュロロロロ!」と愛をささやき続けます。
この時、さえずりの合間に「クククッ」「カカカッ」という、喉の奥を鳴らすような独特の音を混ぜることがあります。これは求愛給餌(吐き戻し)の前兆であることが多く、実際に餌を吐き戻してプレゼントしようとすることもあります。あまりに激しい場合は、精巣腫瘍などのリスクも考慮し、対象物を一時的に撤去するなどの対策が必要です。
メスの巣探し行動と独特の唸り声
一方、メスが発情すると、巣箱のような「暗くて狭い場所」を探し求める本能が強くなります。部屋の隅や棚の隙間に入り込み、そこを守ろうとして低く唸るような「グルルル…」という声を出したり、逆に神経質になって「チッチッ!」と鋭く鳴きながら歩き回ったりすることがあります。
この時期のメスは、卵を守るための母性本能から非常に攻撃的になりやすく、普段は大人しい子でも急に噛みついてくることがあります。「性格が変わってしまった」とショックを受ける必要はありません。ホルモンバランスが落ち着けば元の優しい子に戻りますので、刺激しないように見守ってあげましょう。
豆知識:発情期のコントロール
発情による鳴き声や行動が激しすぎる場合は、日照時間(起きている時間)を短くして睡眠時間を長く確保したり、高カロリーな食事を控えたりすることで、ホルモンバランスを自然に落ち着かせることができます。
ヒナ特有のジャージャー鳴き

まだ挿し餌を食べている時期のヒナや、巣立ち直後の若鳥からは、「ジャージャー」「ジジジジ」という砂嵐のようなノイズ音が聞こえてきます。これは成鳥のきれいな声とは全く異なるため、初めて聞くと「病気かな?」と心配になるかもしれませんが、正常な成長過程の証です。
生きるための「餌鳴き(ベギング)」
この声は、親鳥(または飼い主)に対して「お腹空いた!ごはんちょうだい!」と必死にアピールするためのもので、専門的には「ベギングコール(Begging call)」と呼ばれます。ヒナは口を大きく開け、頭を上下に激しく振りながら(パウンピング)、全身全霊でこの声を出して餌をねだります。
この「ジャージャー」という音は、雑音成分が多く、親鳥の注意を引きやすい周波数帯になっていると言われています。野生下では、より強くアピールできたヒナが生き残れるため、彼らにとってはまさに命がけの叫びなのです。
成長に伴う変化と「甘え」の残り香
通常、ヒナが成長して一人で餌を食べられるようになり(一人餌)、飛ぶ力がついてくると、この独特な声は自然と消え、成鳥と同じ「ピッ」「ピヨ」という声に変わっていきます。
しかし、飼育下のインコ、特に飼い主との絆が強い子の中には、成鳥になっても甘えたい時や、おやつをねだる時だけ「ジャージャー」と鳴く子がいます。「自分はまだ赤ちゃんだよ、お世話してよ」という可愛いアピールですが、あまりに頻繁な場合は自立を促すために、少し接し方を見直す必要があるかもしれません。いずれにせよ、この声が聞けるのはヒナの時期だけの特権ですので、録音して残しておくのも良い思い出になりますよ。
セキセイインコの鳴き声の種類別対処ガイド
「声の意味はわかったけど、やっぱりうるさくて困る…」という悩みや、「この変な音は病気?」という不安もありますよね。ここからは、具体的な対策や健康管理の視点から鳴き声を解説します。
うるさい呼び鳴きの対策と防音

姿が見えなくなると「ピー!ピー!」と大声で鳴き続ける「呼び鳴き」。これは「寂しいよ、どこにいるの?」「こっちに来て遊んで!」という仲間を呼ぶ本能的な行動ですが、集合住宅などではご近所への騒音問題になりかねず、飼い主さんにとっても大きなストレスになります。
なぜ呼び鳴きはエスカレートするのか?
実は、呼び鳴きがひどくなる原因の多くは、飼い主さんの(良かれと思った)対応にあります。インコが鳴いた時に、「どうしたの?」「うるさいよ!」と声をかけたり、ケージの様子を見に行ったりしていませんか?
行動分析学的に見ると、これはインコにとって「鳴く=飼い主さんが来てくれる(報酬)」という学習(強化)になってしまっています。「大声を出せば構ってもらえる」と学習したインコは、さらに大きな声で、より執拗に鳴くようになってしまうのです。
科学的に正しい「無視」と「褒め」のセット技
呼び鳴きを減らすための鉄則は、心を鬼にして「鳴いている時は徹底的に無視をする」ことです。目を合わせず、返事もせず、場合によっては部屋から出て姿を消します(タイムアウト法)。
そして最も重要なのが、「インコが鳴き止んで静かになった瞬間」に、すかさず部屋に戻って大いに褒めることです。「静かにしていると、大好きな飼い主さんが来てくれる」という新しいルールを学習させるのです。これを根気強く繰り返すことで、徐々に呼び鳴きの頻度は減っていきます。
物理的な防音対策も併用しよう
しつけには時間がかかりますので、即効性のある物理的な対策も併用しましょう。アクリル製のバードケージケース(防音ケース)は非常に効果が高く、鳴き声を数デシベル下げてくれます。また、遮光・防音カーテンを使用するだけでも、外からの刺激(野鳥の声や車の音)を遮断し、インコの興奮を抑える効果が期待できます。
注意点
無視をするのはあくまで「退屈や要求による呼び鳴き」の時だけです。体調不良や怪我、パニック(オカメパニックなど)による悲鳴の可能性もあるので、無視をしている間も「音の質」には常に聞き耳を立てておいてくださいね。
寝る前のギリギリ音と歯ぎしり

夜、電気を消してカバーを掛け、寝かせた後に、ケージの中から「ジョリジョリ」「ギョリギョリ」「プッ、プッ」という音が聞こえてくることがありませんか?「暗闇で何か食べているのかな?」と不思議に思うかもしれませんが、これはインコ特有の習性です。
至福のリラックスタイムの合図
この「ジョリジョリ」という音は、インコが上下のクチバシを擦り合わせて研いでいる音で、専門的には「ビークグラインディング(Beak Grinding)」と呼ばれます。人間でいう歯ぎしりのような音ですが、意味合いは全く異なります。
この音は、インコが極めてリラックスしており、一日の活動を終えて眠る準備が完全に整ったことを示しています。「今日も一日楽しかったな、お腹もいっぱいだし、安心して眠れるな」という、満ち足りた気分の表れなのです。
この音が聞こえてきたら、飼い主さんは安心して自分時間に戻って大丈夫です。むしろ、ここで「何の音?」と覗き込んだりすると、せっかくの安眠モードを邪魔してしまうことになります。「おやすみ、良い夢を」と心の中で声をかけ、そっとしておいてあげましょう。
病気のサインとなる異音の種類

鳴き声の知識の中で、最も重要なのが「病気のサイン」を見逃さないことです。鳥類は本能的に体調不良を隠す生き物ですが、呼吸音や声のかすれといった「異音」は、隠しきれないSOSとして現れます。
絶対に聞き逃してはいけない3つの異音
以下の音が聞こえたら、様子見をせずに専門医への相談を検討してください。
| 聞こえる音 | 疑われる症状・病気 | 緊急度・特徴 |
|---|---|---|
| ヒューヒュー プツプツ | 甲状腺腫・気道炎 気嚢ダニ | 緊急度:高 呼吸をするたびに聞こえる笛のような音(狭窄音)や、クリック音。夜間の静かな時に聞こえやすい。 |
| 声がかすれる 声が出ない | 鳴管炎・真菌感染 異物誤嚥 | 緊急度:高 鳴こうとする仕草はあるのに音が出ない(失声)、またはハスキーボイスになる。発声器官(鳴管)の異常。 |
| オエッオエッ キュッキュッ | そのう炎・中毒 メガバクテリア症 | 緊急度:中〜高 首を振りながら苦しそうに音を出す。吐き戻し(求愛)とは違い、粘液や未消化の餌を撒き散らす。 |
早期発見が生死を分ける
特にセキセイインコに多いのが、ヨウ素欠乏などによる「甲状腺腫」です。甲状腺が腫れて気管を圧迫し、「ヒューヒュー」という苦しそうな呼吸音を出します。また、風邪やカビ(真菌)による呼吸器疾患も、初期段階では「なんとなく声がおかしい」という症状から始まります。
「いつもより声が低い気がする」「鳴く回数が極端に減った」といった違和感は、飼い主さんにしか気づけない微細な変化です。もし少しでも「おかしい」と感じたら、スマホでその時の音や様子を動画に撮り、鳥を診られる動物病院を受診してください。その動画が診断の決定的な手掛かりになることがよくあります。
免責事項
ここに記載している情報は一般的な目安です。愛鳥の様子が少しでもおかしいと感じたら、自己判断せずに必ず専門の獣医師の診断を受けてください。
鳴き声と仕草で読むインコの感情

ここまで様々な鳴き声を紹介してきましたが、インコの気持ちをより正確に理解するための最後の鍵は、「鳴き声」と「ボディランゲージ(仕草)」をセットで観察することです。
「声+動き」の方程式
例えば、同じ「ピヨ」という短い声でも、その時の姿勢によって意味は180度変わります。
- 「ピヨ」+首を傾げてこちらを見ている
意味:「なぁに?」「遊ぶ?」(親愛・興味) - 「ピヨ」+体を細くしてキョロキョロしている
意味:「何か怖い音がしたぞ」「逃げる準備よし」(警戒・緊張)
また、背中の羽を少し持ち上げてワキを見せるようなポーズ(通称ワキワキ)をしながら楽しそうにさえずっている時は、テンションが最高潮に達しているサインです。逆に、羽を膨らませてうずくまりながら弱々しく鳴いている時は、体調不良や寒さを訴えている可能性が高くなります。
日々の観察が絆を深める
インコの感情表現は非常に豊かで、人間のように「建前」を使うことがありません。嬉しい時は全身で喜び、嫌な時は全力で拒否します。その素直なメッセージを受け取るためには、日頃から「どんな時に、どんな声で、どんな動きをしているか」を観察する癖をつけることが大切です。
「あ、今のは甘えん坊モードの声だな」「これは眠い時の不機嫌な声だな」と分かるようになると、愛鳥とのコミュニケーションの質が劇的に向上し、より深く信頼し合えるパートナーになれるはずですよ。
セキセイインコの鳴き声の種類まとめ
今回はセキセイインコの鳴き声の種類と、その裏にある心理についてお話ししました。うるさく感じることもある鳴き声ですが、それは彼らが一生懸命に私たちとコミュニケーションを取ろうとしている証でもあります。
「ゴロゴロ」は甘え、「ギャギャ」は拒絶、「ピュロロ」は求愛。そして、「ヒューヒュー」などの異音は病気のサイン。これらを知っているだけで、愛鳥との生活はもっと安心で豊かなものになるはずです。
ぜひ今日から、愛鳥がどんな声であなたに話しかけているのか、耳を澄ませてみてくださいね。きっと今まで以上に、彼らの気持ちが手に取るようにわかるようになると思いますよ。
